数学教師のためのギリシャ数学史
数学を愛する人たちの中には,アルキメデスやエウドクソスのファンがたくさんいます.
そして子どもたちも,幸いにも彼らがまだ数学嫌いになっていないならば,
古代ギリシャの大数学者たちのファンになるでしょう.
彼らは,たんに数学上の業績だけで傑出しているだけでなく,
とても魅力的な人物であるからです.
ところが残念なことに,多くの人たちは大人になると,
実用的な事柄にだけ関心をもつようになり,
真理への愛を失いがちになります.
私も含めた数学教師たちも,決してその例外ではありません.
自分の日々の仕事に追われ,狭い関心だけに閉じこもるようになり,子どものころの
純粋な好奇心を忘れてしまいます.
数学を教える立場の人間としては,この忘却はとても寂しいことです.
この小冊子は,私自身がつぎのような素朴な疑問を解きたくて,
これまで勉強してきたことを整理したものです.
整理してみました。
- 数学はどのようにして創られてきたのか?
- 数学は面白い学問ですが、一方で、何故こんなに難しいのか?
- アルキメデスやエウドクソスのような天才は、どこまで時代を越えることができたのか?
- 彼らは、その最大級の発見をどのようにしてなすことができたのか?
- 真に才能のある人間は、倫理的にもすぐれているのか?
等々.
本当のことを言うと,じつは以上の問のすべてに対して,私は答えを知りません.
しかし,答えを求める前には,まず問題を明確にしなければいけない事は言うまでもあり
ません.
この小冊子のタイトルは『数学教師のためのギリシャ数学史』
となっていますが、ここで数学教師とは、まず第一に自分自身のことなのです.
そして,この小冊子には答えは載っていません.
若い世代の人たちに,上のような素朴な問を提出し,ともに研究すること,
それがこの小冊子を書いた目的です.
つぎは,この小冊子の現時点(2005年8月16日)での,目次です.
文書の多くの部分はまだ未完成です.
とくに,アポロニウスやパッポスについては全く何も書いていない状態です.
この小冊子はもともと,鹿児島大学の『教養』の授業である『歴史による初等数学再入門』,
の資料として,書いたものです.
半期(15回)の授業では,アポロニウスやパッポスまで到達できなかったので,
まだ何も書いていない,という事情です.
- ピュタゴラス学派の算術
- ピュタゴラス派の思想
- 図形数
- 比
- ピュタゴラス学派の幾何学
- 面積のあてはめ・不足・超過
- 無理数の発見
- ギリシャ幾何学の三つの難問
- 円の正方化
- 角の三等分
- 立方体の倍積
- テアイテトス
- プラトンの対話篇『テアイテトス』
- 無理数の分類
- 正多面体
- エウドクソス
- 同心天球説
- 比例論
- 取り尽くし法
- 『原論』
- 『原論』の成り立ち
- 初等幾何学の有名な命題
- アルキメデス
- エウレカ
- 発見のための『方法』
- 球の体積と表面積
- 円周率
- アポロニウス
- 円錐曲線
- 円の接触
- パッポス
数学教師のためのギリシャ数学史